今回訪れた学校に限らず、岩手の被災地域の学校では次のような状況にある。
一つ目は運動場。被災しなかった学校の校庭は仮設住宅に当てられており、被災した学校の校庭は瓦礫置き場になっている。子どもたちが、のびのびと体を動かせない状況が続く。
二つ目は新校舎建設。安全な場所への建設となると、山を整地しての工事となるため、平地での建設よりも建設費や時間がかかる。
三つ目は元々過疎地域のため、学校の統廃合が進むと見られるが、保護者の就労先も決まらないので、児童・生徒数が把握できない。また、給食費などを収められないなど、子どもたちの生活や心も安定しない。
ただ、三陸地方は過去に何度も津波を経験しているためか、当時学校にいた子どもたちは避難し助かった。せめてもの救いであった。
(以下、「東日本大震災が残した爪痕=復興をめざす学校現場=」岩手教職員組合・編)
11.今後の課題
震災から半年が過ぎ、やっとがれきの撤去が7割を超えてきている。しかし、地域の再生はこれからである。いくつかの課題を列挙しまとめとしたい。
①町づくりビジョンの早期作成
②産業の復興と雇用の確保
③学校の再建とコミュニティーづくり
④教職員の加配による学校現場の支援体制
⑤子ども・教職員の心のケア
⑥保護者・地域住民など心のケア
⑦被災家庭の支援の強化
⑧里親制度の内容の充実(補助金の拡大)
⑨防災教育の再点検
⑩学校・地域・行政の関係の見直し
⑪来年度以降の学校の様々な活動に対する支援体制
⑫放射線緊急対策マニュアル
⑬食の安全の確保・安全な食材の提供
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